人間が食べるために生産されている家畜動物たち。
この工業型畜産はたくさんの環境問題を引き起こしていることを知っていますか?
畜産業が引き起こす環境問題と、今後どうなってしまうのか。
また、環境問題とヴィーガンはどのような関係があるかご説明します。
温室効果ガス
家畜(牛や羊)は反芻といって一度飲み込んだ食物を再び口中に戻し、よく噛んでからまた飲み込む、ということを繰り返します。この際、消化の途中でメタンガスを発生させ、このメタンはゲップをすると大気中に放出されます。世界中の牛が一斉にゲップをすると地球は壊滅すると言われているほどです。
家畜から排出される温室効果ガスは、世界の温室効果ガスの約14%と言われています。これは、自動車や飛行機、電車やバスなどの乗り物から排出される温室効果ガスの総量に匹敵します。
このメタンガスは二酸化炭素に次ぐ地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスであり、二酸化炭素に比べると28倍もの影響力があると報告されています。
森林伐採
地球の陸地の26%が家畜の飼育で使用されており、さらに、世界中の農地の75〜80%は、家畜用の飼料の生産に使われています。
畜産を含める工業型畜産工場・システム全体が、森林破壊の原因の80%をしめると言われてます。特に牛肉用牧草地の拡大は、年間の熱帯森林破壊の41%を引き起こしています。
現在、世界の熱帯雨林は一秒間にサッカーコート2コート分が消失し、1日でニューヨークより広大な熱帯雨林が消失しているといいます。
水の過剰使用
食肉社会では、世界中の家畜を養うためには莫大な量の飼料が必要となり、その飼料となる大豆やとうもろこしを育てるためにも莫大な水が必要となります。そして、生産・屠殺・加工に至るまでに、事業やサプライチェーン全体でも水を使用しています。
ハンバーガー1個を作るのに必要な水は、私たちが日頃使う「トイレ6ヶ月分の水」「3ヶ月分のシャワー」に同等します。
1kgのステーキを作るためには、約15,000リットルの水が必要となり、この水は世界中の清潔な水を必要としている難民の子供たち750人分の水と同等です。
穀物の大量消費
家畜の飼料の為大量の穀物を必要とする畜産業は、世界中の大豆のうち90%を消費しているといいます。人が食べている大豆は10%でしかありません。
大豆を生産するには広大な農地が必要となるため、これが森林伐採へとまた繋がります。
大気汚染
米国では、農業など食料生産で排出されるPM2.5による大気汚染で、年間1万人超が死亡しているという研究結果が出ています。そのうちの80%は、食肉、乳製品、卵など動物性食品の生産に関連しています。
大気汚染は喘息・心臓発作・脳卒中の原因となり、早すぎる死の原因となります。また、食料以外にもエタノール・皮革・羊毛などの生産も死者数を引き上げてるといいます。
ヴィーガン食では、どのように環境問題を回避・削減できるのか。
温室効果ガス
イギリスのオックスフォード大学の研究によると、肉を食べず、魚や卵、乳製品を食べるベジタリアン食では、温室効果ガスの削減量は63%となるといいます。ヴィーガン・ベジタリアン食の選択によって、2050年までに最大800万人の死亡を回避できると報告されています。
さらに気候変動による被害を減らすことなども含めると、世界全体で5700億ドル(78兆円)の節約につながる可能性があるとしています。
森林伐採
牛肉1kgを生産するには326.21m2の土地が必要ですが、大豆1kgを生産するには3.52m2で済みます。実に90倍の差があります。
肉を食べることを減らし、代替肉を選ぶことによって、少ない土地でも多くの食料を得ることが出来るため、世界的に問題になっている飢餓をも解決できる糸口になるでしょう。
水の過剰使用
地球で最も貴重な資源である水。世界では深刻な水不足に陥っている国があります。
イタリア・イスプラの欧州委員会共同研究センター調査によると、水を使う量は肉食から菜食に切り替えることで少なくとも35〜55%少なくなると発表されています。
また、肉の摂取量を減らすだけでも少なくとも水を使う量は10%減るとのことです。
穀物の大量消費
家畜は世界で生産される穀物の3分の1を、大豆だけなら90%を消費しています。
家畜の飼料となる穀物を人間に供給できたとしたら、約30億人の人々を養えるともいわれています。
大気汚染
牛を育て、飼料となる作物を育てた大気汚染による早期死者数は年間で4,000人。これに豚と乳牛を加えると、死者数は9,100人に増加します。
一方、食用トウモロコシを含む野菜の栽培による早期死亡は年間100人とのこと。
まとめ 2050年の地球とは
2050年の地球では、いったいどんなことがおこるのでしょうか。
夏の気温上昇
夏は気温が47度まで上昇するとされています。それに伴い、降水頻度が変化し干ばつの影響で水不足と食料問題が併発するとされています。
自然災害の増加
豪雨や台風などの異常気象、地震災害が増えると言われています。
まとめ
日本は人口が減り続けていますが、世界的にみると人口は増えており、2050年には約90億人になると推定されています。
その90億人分の肉や魚を提供する資源は、地球に残っていません。
30年後には私たちはいくつになっているでしょうか?まだこの世にいるのではないでしょうか。
子供たちに、生きにくい世界を、苦しく辛く生きて欲しいでしょうか。
この記事は、ヴィーガン食を強制したいものではありません。
しかし、世界の環境負荷の現状を知ることは必須だと考えております。
その上で、自分が何を選択するか、どのように責任があるかを考えるきっかけになっていただけると幸いです。
参考:朝日新聞 SDGs ACTION 肉の消費からわかること
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