みなさんは街中で、耳が少しカットされた野良猫を見たことはありますか?
彼らは「さくら猫」といい、不妊去勢手術済みの目印として、耳の先端をさくらの花びらのようにV字カットされています。
今回はねこちゃんボランティアやNPO法人の活動でよく聞く「TNR活動」についてご紹介します。
TNRとは
TNRとは、Trap Neuter Return(トラップニューターリターン)の頭文字を取った言葉です。
Trap 捕獲して
Neuter 不妊・去勢手術して
Return 元の場所に戻す
外で暮らす野良猫を、望まない繁殖から守り、その上で一生を大切に過ごしてほしいという想いから生まれた活動です。
野良猫の住む環境は自然災害や交通事故、心ない人間の虐待の対象になるなど、とても過酷です。すべての猫たちに飼い主を探すには現実的ではありません。
TNRされた猫は、再び捕獲されないように耳をカットして目印が付けられ、地域の人たちがご飯やトイレの世話をする「地域猫」として一生を過ごします。
野良猫の殺処分
2021年の環境省の「犬・猫の引き取りおよび負傷動物等の収容並びに処分に状況」によると、全国の保健所や動物愛護センターなどで殺処分された犬猫の数は1万4457匹とのことです。
処分される犬猫の数は年々減少傾向にはあるものの、それでも1日に約40匹の犬猫が殺処分されていることになります。
殺処分を根本からゼロへ。TNRが解決できること。
「なぜTNR活動が必要なの?」
「どうしてねこちゃんには不妊去勢手術が必要なの?」
といった疑問に対する理由は、ねこちゃんの繁殖スピードにあります。
ねこは1年間に2〜4回出産し、1回の出産で約4〜8匹の子猫を産むといわれています。しかも、生まれた子猫は生後半年ほどで子供を生めるほどに成長します。
つまり、1匹のメス猫がたった1年間で数十匹に増えてしまう可能性があるからです。
もし制御できないほど野良猫が増えてしまった場合、外でのんびり暮らすだけではいられません。
食べるものに困ってゴミを荒らしたり、糞尿によって生活環境に危害を加えてしまいます。
また、TNRによりねこちゃんが発情せずに落ち着いて暮らせるというメリットもあります。
TNR活動や地域猫活動が浸透すれば、
発情せず落ち着いて暮らせるので、夜鳴きやケンカがなくなる
地域で餌の管理ができるから、むやみにゴミが荒らされない
人の目が届くから、動物へのいじめや虐待も予防できる
そういったことが期待できます。
多頭飼育崩壊
ペットが増えすぎで飼い主が適正に飼うことができなくなる「多頭飼育崩壊」。
中には飼い主が経済的に破綻してしまうケースもあるといわれます。特に多いのは、夫婦のみや、一人暮らしの高齢者世帯のケース。
もともとは猫や犬が大好きでとても可愛がっていた、という点から、多頭飼育問題解決を難しくしています。
飼い主は避妊、去勢手術を適正に施す責任があり、もし自分にもしものことがあった時に犬猫を任せられる人を見つけなくてはなりませんが、対処しきれずに保健所へ犬猫を連れてくる人間が後を絶ちません。
無責任な餌やりと無知識な飼い方により、不幸な猫を増やす前に対処することが必要です。
まとめ
地域で見守る「さくらねこ」。
昨今の夏は気温上昇などで、とても外で活動なんで出来ませんよね。
そんな過酷な環境でも生き抜かねばならない、不幸なねこちゃんを増やさないように、私たちはひとりひとり責任を持たなければいけません。
庭に遊びにきた子猫に餌をあげることは簡単ですが、その先何代にも続く猫たち全頭に責任をもてますか?
TNR活動を行なっているボランティア団体では、猫砂やキャットフード、手術の際に使うペットシートなどが足りていないといいます。
野良猫ちゃんに何かしてあげたいな。と思ったなら、そういった活動をしている方々へ物資や寄付をしてあげるのも猫ちゃんに対する優しさなのではないかと思います。
参考:ELEMINIST 猫の殺処分はなぜ多いのか?犬よりも5倍近く処分されてしまうその理由
参考:PETOKOTO MEDIA 犬猫の殺処分が1.4万匹に減少。過去最少処分数を更新。
参考:犬猫生活福祉団体 さくら猫(耳カット)ってご存知ですか?〜猫を守るためのTNR活動のご紹介〜
TNR活動の支援
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